プロ家庭教師のブログ

緊張への対処法(前編)

いよいよ入試が目前に迫ってきましたね。本番が近づいてきて緊張しているお子様もたくさんいらっしゃると思います。また、緊張している我が子の様子を見て、どう声かけしたらよいのか困っている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回はそのような保護者のみなさまに向けて、前編・後編の2部構成で、前編では緊張の正体を、そして後編ではお子様への具体的な声かけについて探究していきたいと思います。

さて、さっそくですが質問です。緊張は悪いことでしょうか?それとも良いことでしょうか?私はどちらでもないと考えています。なぜなら緊張というのは人間が抱く様々な感情のうちの一つであり、感情とはそれ自体に良し悪しの判定をするものではないからです。つまり、ある出来事に対して抱く感情は人によって様々で、そこには良いも悪いもないということです。例えば、雨が降るという現象は、楽しみにしていた遠足が中止になってしまった小学生にとっては悲しいことですが、水不足で悩む農家の人にとっては喜ばしいことかもしれませんよね。あることが起こって、それによってその人がそう感じた、というただそれだけのことです。

私達は毎日、様々な感情と共に生活しています。嬉しい、腹が立つ、悲しい、楽しいといったいわゆる喜怒哀楽を感じない日はないでしょう。仮に、これらの感情を、「陽の感情」と「陰の感情」に分類するなら、緊張は「陰の感情」と言えるかもしれません。しかし、くり返しになりますが、この陽と陰は、単なる分類であり、陽=良い感情、陰=悪い感情ではありません。

ではなぜ、緊張は良くないものだと思われがちなのでしょうか。それは過去に緊張してうまくいかなかった経験が強く印象に残っているからです。緊張と不本意な結果、これらが一連のセットで記憶されてしまっていることが緊張のイメージを悪くしているのだと思います。しかし、よく考えてみてください。成功体験でかき消されがちですが、緊張しながらも成功を収めた経験がきっとあるはずです。そう考えると、緊張とその結果には因果関係がなさそうだということがわかります。

ここに緊張にうまく対処するためのポイントが隠されています。それは、緊張という感情と、行動・結果は切り離して考えたほうがいいということです。ひとことで言うと「感情と行動の分離」です。感情には良いも悪いもないのですから、緊張しているのであれば、それをそっくりそのまま受け止めてあげればいいのです。そして緊張した状態のままでも構わずに、前に進んでください。緊張を封じ込めて無理矢理にでもリラックスしないとダメだ、と思わなくても大丈夫ですよ。

では緊張を受け止めて、その上でよい結果を出すためには、どのような声かけをすればいいのでしょうか。この続きは後編で述べたいと思います。